
- 住まいの原風景と設計について
- 母の実家が那須高原にあり、毎年一週間ほど暮らすのが常でした。子供にとって庭のような広い土間がありその奥に囲炉裏があった。囲炉裏は家族や近隣の方々が集まる暮らしの中心でした。家の周りで、冬はソリやスキー、雪合戦、夏は水遊び、虫取りをして野山を駆け回った。
縁側でスイカを食べ、夕立ちがあると軒下に避難。勢いよく流れる雨をじっと眺めていた。夕日が山々をダイナミックに染めていく姿にも心を打たれた。
これが住まいの原風景、原体験です。家族が暮らす大きな平屋、この高原の木の家は、いまでもますます鮮やかに浮かんできて、僕をいつも励ましてくれるのです。
豊かな自然やゆったりとした時の流れを感じ、囲炉裏のような空間に抱かれて、縁側や土間的空間など、内外がつながり心が休まる居場所があちこちにある住まいを創りたい・・・・僕が高原の家をそう感じたように、現代の子供たちにも心身のよりどころとなる居場所をつくりたいと想い続けてきました。
遊ぶ場所、甘える場所、時には隠れて一人泣く場所も。家族になじみ、街並みまでもが美しく生き生きとしてくる住まい。かけがえのない時間の中で、ささやかな喜びや発見があり、和み癒され元気になる居場所をなんとか建築空間にできないものかともがく日々です。
実績紹介
つづら折りの家
間口が狭く南北に長い敷地に大小の台形平面を配置し、そのズレや歪みから生まれた様々な余白に庭や人の居場所を作り、住まいと周辺環境とつなげて、狭さを感じさせない多様な奥行きと溜まりと時間が生まれるような豊かな空間を目指しました。
- 所在:
- 東京都
- 竣工:
- 2015年
- 構造:
- 木造在来工法 2階建て
- 延床面積:
- 105.29㎡(31.85坪)
志木の家
街中の住まいにおいて、取り込む風景や光は断片的なものになりパノラマ的な全体像は見えませんが、そのトリミングされた部分だからこそ、その先のイメージは倍増され内外は広がりを得て解け合い、限られたスペースに多様で豊かな風景と光を呼び込みます。
- 所在:
- 埼玉県志木市
- 竣工:
- 2018年
- 構造:
- 木造2階建て
- 延床面積:
- 180.08m²(54.47坪)
落ち着いて身体になじみ、
未来に向かうなつかしさを併せ持つ
美しい住まいを目指しています。