KAPPAはうす

岩手県遠野は、日本の原風景を残しているだけでなく、カッパや座敷童、キツネや馬との恋など、言い伝えや物語に溢れた不思議なところです。
「Kappaはうす」は、そんな遠野の、長閑な田園風景の中に建ちました。

ご主人は、大阪のご出身。奥様は与論島。
お二人が四人のお子さんをもうけ、この地に骨を埋める覚悟を決めるまでにも、遠野の伝説に負けない物語があったに違いありません。

東西にまっすぐ伸びる農道に合わせて、低い軒を長く見せるようにしました。高さを抑え、普通に、目立たず、完成した時に、ずっと前からここに建っていたような、、、。小さな盆地に外から入ってきたご家族が、自然に、人にも風景にも馴染んでしまう。そんなことを、イメージしました。

列柱縁側に面した開口部、風をぬきながら北に広がる風景を眺める小さな開口部。いつでも遠野を感じられる工夫です。

材料にも拘ってみました。
岩手県のもの:栗のフローリング、杉、県推奨の唐松集成材、エンジュ床柱
大阪のもの :池田炭 赴任していたことのある山形の紅花漉込みの襖紙
与論島(沖縄)のもの:ウコン和紙、月桃紙 注:与論島は鹿児島県です
故郷を思いながら遠野の生活に溶け込みます。

五月五日の新築祝いの一週間後には、家族で畑を耕し、
家庭菜園の準備にかかっていたそうです。
新しい生活が始まります。

追記:新築にあたり、ご主人はファイナンシャルプランナー、奥様はインテリアコーディネーターの資格をそれぞれ取得。夫婦力を合わせての家づくりでした。
所在:
岩手県遠野市
建築形式:
新築
竣工:
2013年
構造:
木造
延床面積:
203.51㎡(61.44坪)
種類:
夫婦+子供4人
テーマ:
記憶をもって新しい土地に住む
建築家
埼玉県入間市
KAZUYA KURASHIMA
RABBITSON一級建築士事務所