坂の家

この建物の敷地は、閑静な住宅街のなか、小高い丘の中腹にあります。

狭い急坂の両側から建て込んだ家々が迫る閉塞感のある環境にあって、敷地内へ建物を大きく後退させ、敷地前面に地下駐車場に続くスロープと1階の玄関に続くゆったりとした数段の階段を配置することで、ぽっかりと開けた空間が出現し、開放感のある地下1階地上2階のRC造の建物が完成しました。

RC打放しのダイナミックな壁面を、敷地の前面から奥へとリズミカルに配置し、その構成が、周囲の環境からプライバシーを守りながらも、閉鎖的にならずに奥行を感じさせる効果を与えています。

高台にある日当たりのよい2階リビングの南面には、天井高一杯まで開口部を設け、重厚な壁に囲まれたRC造でありながら、大屋根を小さな断面寸法で強度が確保できる鉄骨造にすることで深い庇に繊細な表情が生まれました。