• (川口通正建築研究所)

練馬の平屋

所在:
東京都練馬区
構造:
木造在来軸組工法 平屋
延床面積:
87.25㎡/26.39坪
種類:
一人
もともと練馬地域は成長したケヤキやエノキ、サクラの大木が農家の庭先にあったところが多く、私がこの地域に住んでいた子供の頃は、その大木に囲まれた知り合いの家の広縁で、草餅や漬物を食べたり、蟻地獄のすり鉢を見たり、ニラの先をやや硬めの土の穴に入れてニラ虫を釣った。家の向かいや横には納屋や土蔵があって、その囲まれた空間の軒下が夏には涼しい日陰になっていた。その佇まいも加速する近代化にすっかり飲み込まれてしまった。大木も僅か数十年でほとんど切り倒された。子供心にも残酷さを感じ、心を痛めたことを思い出す。この敷地周辺も今は新興住宅地となったが、ケヤキの大木が数本残り、昔の風情がうかがえる。
都市化した敷地周辺を観察して、この26坪の平屋平面が浮かび上がった。この住宅では建主の父が大事に育てた白梅の木を事前に根回しし、東庭のアプローチに2本移植した。加えて既存敷地内に小さな社が2基あったので、お参りできる小路をつくり北庭に移築した。